前回からの続き。
これまで、『[風迅洞私選]どどいつ万葉集』(徳間書店)という本の中から、私の気にいった“句”を紹介してきました。最後に、私の好きな“作者”の句を紹介したいと思います。
本ではあいうえお順の作者ごとに句が並べられているのですが、あ、この句いいな、と思って次の句に進むとそれもやっぱりよい、次もまた、と思う作者があ[
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前回からの続き。
[人生・世間]
落ちる真水にあしたのいのち 知らぬしじみが砂を吐く (榊原嵐歩)
故郷(くに)を出る朝駅までおれを 追ってきたのは月ばかり (鈴木虚心)
十人集まりゃ十色の顔が 十の心でものを言う (鈴木忠弥)
みつ豆の好きな妓(こ)でした入院中も たべていましたうまそうに (冬木悪太郎)
一句目、人も[
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前回からの続き。
[男と女のかけひき]
石ころみたいな男の言葉 拾って女は隅へ置く (浅沼登) 男の些細な言葉を、女は拾って頭の片隅にしまっておく。何の気なしに言った一年前、十年前のあなたの言葉を女はきちんと覚えています。男性諸君、お気をつけて。
五分と五分とで仕掛けた上は ひくにひかれぬ身の事情 現代どどいつですが、よみびとし[
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前回からの続き。
現代どどいつです。
古典どどいつは詠み人知らずで歌い継がれてきたものなので、より多くの人々の興味を引いた句が数多くの詩の中から自然と残されてきていると思います。それゆえに人の普遍的な感情が表現されていて多くの人の共感を呼びます。しかし一方で、作り手の顔が見えず、平板で型通りという面がないでもありません。
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前回からの続き。
日本の詩歌に欠かせないのが花鳥風月です。どどいつにももちろん四季折々の情景に細やかな心情を重ね合わせた句が数多くあります。いえ、数多くどころか、『どどいつ万葉集』によれば、「古典都々逸に一番多いのはやはり四季有情」だそうです。
春夏秋冬それぞれの季節から2句ずつ選んでみました。
[春]
君は吉野の千本ざくら[
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前回からの続きです。
可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまい繻子の帯 「解かざなるまい」という心意気どころか、謎をかけられたことすら気づかない朴念仁もいそうです。朴訥な人もむろんそれはそれで素敵だけれども。
こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった さて、いったいどうしてどうなったのでしょう?
どこで借[
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図書館で本の背表紙を眺めていたら、たまたま目についたのが『どどいつ万葉集』という本(編者:中道風迅洞)です。なんとなく興味が惹かれて借りてみました。
どどいつ(都都逸)とは、7・7・7・5で構成される26文字の詩で、頭にさらに5文字を乘せた31文字のものもあります。もともとは三味線とともに寄席や座敷で節をつけて[
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夢の話。
歩道橋の上で女に会った。女は生身の女ではなく、幻想の女のようだった。私はその女が恐ろしくてたまらない。生身の人間でないのなら殺してもかまわないだろうと、恐ろしさに震えながらナイフを持って女に体当たりした。女は胸から血を流しながら倒れもせず、冷たい顔のままじっと立っている。私はますます恐ろしくなって、どうしてもこ[
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早朝、車で移動中、窓から外を眺めていた父が突然、笑った。
「看板に大きく“ひまつぶし”とあるから何かと思ったら、“ひつまぶし”だった。はは。」
同じ日の午後、居間でくつろいでいると、5歳の姪っ子が
「ひつまぶし、ひまつぶし、ひつまぶし、ひまつぶし、…」
と、繰り返しつぶやいている。
そして、おもむろに顔を上げ、私に[
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このきらきらと輝く美しい世界に、いつまで留まることができるだろう?
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