卜算子 梅を詠ず 1962年12月
読陸游詠梅詞、反其意而用之。
風雨送春帰
飛雪迎春到
已是懸崖百丈氷
猶有花枝俏
俏也不争春
只把春来報
待到山花爛漫時
她在叢中笑
[日本語版]
ぼくさんし うめ えい
卜算子 梅を 詠ず 1962 年12月
りくゆう こころ さかしま もち
陸游が梅を詠ぜし詞を読み、その意を 反にしてこれを用う。
ふうう はる かえ おく
風雨 春の 帰るを送りきて
ひせつ はる いた むか
飛雪 春の 到るを迎う
すでこれ けんがい ひゃくじょう つらら
已に是 懸崖の 百丈の 氷なるに
なお はなえだ あやにうつく あ
猶 花の枝の 俏 しきが有り
あやにうつく わがもの
俏 しけれど 春を争とせず
ただ はるきた ほう
只 春の来るを報ずるのみ
やまじゅう はな らんまん とき やがて いた
山の 花 爛漫たる 時 待 到らば
かのじょ はなむら え
她 叢にありて笑まん
春は風雨に見送られて帰ってき、さらに、吹雪に迎えられてやって来た。高い崖に百丈ものつららが下っているが、そこに、美しい花の枝がある。早春の試練に耐えて咲く梅の花だ。
美しいけれども、それによって、春の美しさを独占し世にときめこうというのではない。ただ、来るべき春のさかりを予告しているだけなのである。やがて、爛漫と山に花が咲き満ちたとき、先駆者の役目を終えた彼女.梅は実を結び、ほかの花に囲まれながら満足の微笑みを浮かべているだろう。