TPP(Trans-Pacific Partnership環太平洋経済協定)について、よくわからないながらも関心を抱いている。
新語時事用語辞典を参考にまとめると、
TPPは、加盟国の間で取引される品目に対して関税を原則的に100%撤廃しようという貿易自由化を目指す経済的枠組みである。
2006年にニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国が発行させ、その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが交渉に加わっている。
というものらしい。
おおざっぱに捉えると、今までよりずっと自由でオープンな新しい貿易のルールを作りましょう、その仲間に入りますか?ということだと思う。
日本にとってその仲間に入ることが損か得か、立場によって意見が分かれるのは当然だ。今までのルールで得をしてきた人たちは、ルールが変わることで損をするから反対、逆の立場の人たちは賛成。損も得も立場によって変わる。どっちが正しいかなんて言えない。
だとすると、決断は外交的、政治的な指針によってなされるべきなのか?つまり「バスに乘り遅れるな」と言ったような。
…と思っていたら、ちょっとおもしろい話を見つけた。
私は時々“村西とおる”という人の書いている日記を読んでいる。この人はアダルトビデオの監督で、ひと昔前ちょくちょくテレビに出ていて、その独特のしゃべり方が強く印象に残っていた。偶然見つけたネット上の彼の“日記”が大変おもしろく、的を得た話が多いので、定期的に読んでいる。
最近、その日記にTPPについて書かれた文章があって、なるほどなぁ、と思った。
彼の言うには、農協がTPPに反対するのは、今まで吸っていた甘い汁が吸えなくなるからであって、米農家にとって本当はTPPは大歓迎すべきものである、らしい。
日本で食べられているようなおいしいジャポニカ米を、日本の米農家を脅かすほどの量を作れる国は、土地の条件からいって、そもそもないのだから、輸入によって脅かされるよりも自由な輸出によって得られるメリットの方がずっと大きい、のだそうだ。以下引用。
「農協」は前述した世界の米の状況など百も承知でございます。
百も承知なクセに楽して甘い汁を吸う味を忘れられず、TPPに反対し既得権益にしがみつこうとしているのでございます。
「農協」はありもしない宇宙人の襲来を叫んで人々の不安をあおり、金儲けの種にしているカルト集団のごとき「悪徳者の群れ」でございます。
(中略)
TPP加入は日本の農業を壊滅させるのではなく、日本の農業を飛翔させる最後のチャンスなのでございます。
引用おわり。
これが本当のことなのかどうかは私には保障できない。でも本当だとすると、農家にとっては、TPPは経済的に決して損になることではないということになる。
TPP参加によって損をするのは、古いルールの中で既得権益を得て濡れ手に粟の利益を得ていた人々、というわけだ。
彼の文体は非常にコミカルで、小気味良く、例え話が上手いので、ついつい引き込まれて読んでしまう。必ずしもすべての内容に同感するというわけではないけれど。
興味のある方は下記アドレスで、原文を読んでみてください。
http://blog.muranishi-ch.com/new/news/blog.cgi TPPについては、下記のタイトルで、二度にわたって書かれている。
・10数人の借り手を自殺に追い込んだ伝説のニコニコ顔の金貸し(2011.11.20)
・金満農家を狙い撃った「コモ樽」詐欺師(2011.11.12)
(タイトルと内容が違うのは、後半、有料サイトで読むようになっているから。でも無料で読める分だけでも充分面白い。私は無料の部分だけ読んでいます。あんまり上品じゃない言葉も出てくるので、そういうのが嫌いな人には向かないかも。)
安い農作物の流入による農業の打撃という問題のほかに、もうひとつ、TPPに関して負の要素として言われているのが、アメリカに主導権を握られる、という話だが、これもよく考えると、本当にそうなんだろうか?と疑問に思う。素朴に常識的に考えるなら、9カ国もの様々な国が参加するというのに、アメリカだけが得をするルールなんて決めることができるのだろうか。そんなんだったらどの国も参加しないだろう。
これもまた“ありもしない宇宙人の襲来”を叫ぶ類かもしれない。