サンタの秘密
(2010-02-01 17:30:50)
下一个
先日、小学2年生の姪っ子が家に泊まりに来た。次の日に学校があるのでランドセルを持ってきた。そのランドセルの色がシックなブラウンで、ちょっと普通のランドセルと違っていたので、
「素敵なランドセルだね。」
と言ったら、姪はハリのある大きな声で、
「うん!サンタさんに貰ったの。」
と言う。
「へえ、そうなんだ。」
ランドセルの蓋を開けると、蓋の裏側に白地に犬のシルエットの模様が並んでいる。教科書やノートを入れる仕切りの表の皮の一部が、一匹の犬の形に切り抜かれてそこだけ透明のビニールになっている。
「犬の模様が入ってるなんて、変わってるね。あ、もしかして普通のランドセルを貰って、後から加工してもらったのかな?」
「えっとね、もしかしたらペットのお店で買ったかもしれない。ママがネットで探して買ったんだと思うよ。あ、でも同じ犬の模様のお洋服があるから、そのお店かも。」
「へえ~。」
と私はいったんうなづいて、ふと、あれ?まてよ、と思った。確かさっき、サンタに貰ったって言ってたような…。その私のいぶかしげな様子を感じとったのか、姪は突然私に向き直り大きな目をまっすぐに見据え、真剣な顔でこう言った。
「あのね、私ね、すごい秘密を知っちゃったの。」
「え?なに?」
「あのね、ママには内緒だよ。」
「うん、わかった。」
「あのね、実はね。…。サンタさんっていないんだよ。」
意外な告白に私は一瞬言葉に詰まった。私の返事を待つかのように、彼女は私をじっと見つめる。何か言わなくては。
「えっと、どうしてわかったの?」
「あのね、去年のクリスマスにサンタさんに人生ゲームを貰ったでしょう?」(ランドセルは一昨年のクリスマスに貰ったもの。)
「人生ゲームを買ったレシートがあった。それに、私がサンタさんに出した手紙がママの大事なものが入っている箱の中にあったんだよ。」
「そっか。お姉ちゃんにはそのこと言った?」(彼女の姉は小学4年生である。)
「ううん、言ってない。」
「お姉ちゃんは知ってるのかな?」
「知らないと思うよ。だって、箱の中のものがちらばってママが片付けてるとき、お姉ちゃんも来て『なになに?』って言ったら、ママは『なんでもない、なんでもない』って慌てて手紙を隠してたから。」
「そっか。」
「私が知ってるって、ママには内緒だよ。」
「うん、わかった。」
その後、この子の祖母や祖父がそばを通り、めいめい個性的なランドセルを褒めた。その度に彼女は「サンタさんに貰ったの」を繰り返した。
サンタさんがいる世界に住んでいた姪にとって、実はサンタさんがいないのに気づくということは“すごい秘密”を知ってしまったということだった。大人の私にとってはあたりまえであるサンタさんのいない世界に、彼女は大変な驚きを持って足を踏み入れたのだ。そして彼女は、自分にそうして大きな世界観の変革が訪れたことを、ママには内緒にしたいと思っている。サンタのいる世界に住んでいた昔のままの自分の残像をママの目の中に残すかのように。
そうそう。いい子すぎて・・・。周囲のことにすごく気を使うから、ちょっと子どもらしくないところがある。