2008 (142)
2009 (130)
2010 (94)
2011 (140)
 
  (ルソーは)相手国が最も大切だと思っている社会の基本秩序(これを広い意味で憲法と呼んでいるのです)、これに変容を迫るものこそが戦争だ、といったのです。著者の加藤先生は言う。ルソーは18世紀までの人なので、それ以降の戦争は予測不可能だったはずなのに、ルソーの述べたことは19世紀、20世紀、そして現代の戦争にもぴったりと当てはまるのだと。
相手国の社会の基本を成り立たせる秩序=憲法にまで手を突っ込んで、それを書きかえるのが戦争だ、と。とても簡単にいってしまえば、倒すべき相手が最も大切だと思っているものに対して根本的な打撃を与えられれば、相手に与えるダメージは、とても大きなものになりますね。
第二次世界大戦の終結にあたっては、敗北したドイツや日本などの「憲法」=一番大切にしてきた基本的な社会秩序が、英米流の議会制民主主義の方向に書きかえられることになりました。ですから、歴史における数の問題、戦争の目的というところから考えますと、日本国憲法というものは、別に、アメリカが理想主義に燃えていたからつくってしまったというレベルのものではない。結局、どの国が勝利者としてやってきても、第二次世界大戦の後には、勝利した国が敗れた国の憲法を書きかえるという事態が起こっただろうと思われるのです。
