上海では一人だったので、ホテルのチェックインやら切符の手配やら地下鉄やバスでの移動やら道に迷うやらで時間を取られ、またあいにくのお天気で傘を指しながら歩き回るのにも疲れ、ちゃんと観光したのは最後の日に訪れた豫園くらいでした。
豫園2010年4月18日
実を言うと、私が行ったのは豫園商城で豫園には入場していません。豫園は庭園ですが、その庭園の周辺に多くの商店が軒を並べており、その商店街を豫園商城と言います。着いたときには庭園の閉園時間(5時半)が迫っていたので、庭園に入るのは止めました。
日曜日とあって、小雨降るあいにくのお天気にも関わらず、豫園商城は観光客でごった返していました。商店はほとんどがいわゆる土産物屋です。浅草の仲見世をもっと大規模にもっと複雑にしたような感じ。
豫園について、詳しくはこちらを御覧下さい。→
エクスプロア上海
両側から屋根が迫る豫園商城の狭い通りを人ごみを掻き分けるようにして抜けると、ふっと空が開けて、目の前に池が現れます。その池の真ん中に湖心亭という東屋が建っています。喫茶店です。
湖心亭で一休みしました。龍井茶のお茶セット(お茶と茶菓子)が138元、日本円にして1900円くらい。すごく高い!でも私がいた30分ほどの間、店内は常に満席でした。龍井茶以外にもいろんな種類のお茶を選択できます。龍井茶は甘くてまろやかで本当においしかった。新茶だと言っていましたが…。
写真は湖心亭の二階の窓からの風景です。池の上に架かるジグザグの橋を九曲橋と言います。
龍井茶のお茶セット。お茶菓子の味付き鶉の卵が美味でした。奥の赤い袋にはお土産用のお菓子が入っています。ポットがテーブルに置かれ、自分でお湯を足しながら何杯でも飲めます。
すっかり日が暮れて、建物がライトアップされました。そういえば烏鎮でも夜のライトアップが目玉となっていました。北京では普通のビルや高架橋までが色とりどりにライトアップされていて、美しいことは美しいのですが、エコからは程遠いような…。特に道路の色鮮やかなライトは运転の妨げになるのでは?この中華的な過剰なまでの装飾は、シンプルで控えめな日本の美的感覚とは対極にあるものだという気がします。それとも経済成長期の一時的な流行でしょうか…?
豫園商城の中にある南翔饅頭店という有名な小笼包を買いました。テイクアウト用は夕方5時までは鮮肉小笼だけ、5時を過ぎると蟹黄小笼だけの販売になります。鮮肉小笼が12元、日本円で168円(16個入一箱の値段)。蟹黄小笼は20元(一箱)、日本円で280円。
一時間以上並びました。しかしそれだけ並ぶ価値のある味だったかどうか…。並ぶのは人気があるからというよりも、一度に蒸すセイロの数が少ないからです。店員は一度炉の上に17笼セットすると奥へ引っ込み、蒸しあがるまで15分、15分後に戻ってきて販売します。なので、行列は15分間一歩も進みません。うーん、これは、わざと少しずつしか蒸さずに行列を作らせてるようにしか思えない。それで行列が待てない人は店内の二階席へと行きます。或いは知っている人は始めからさっさと二階へと上がるようです。その代わり値段は何倍もに跳ね上がります。ただもしかしたらテイクアウト用と店内のテーブル席では商品自体の味や質が違うのかもしれません。席があるかないかだけの違いでなく、物自体が違うんじゃないかと。次回、訪れるときは、店内に上がってその辺を確かめてみたいと思います。
でも、並んだ一時間が無駄だったかというと、決してそんなことはなく、行列の前後の人たちのおしゃべりを聞いていたり、通り過ぎる人たちの服装を眺めたり、時折日本語が耳に飛び込んできて、あ、日本人がいる、と思ったり、地球の歩き方を開いてたから日本人かなと思ったら台湾人らしかったり、この人たちはどうしてこんな長い間辛抱強く待っているんだろうと自分のことを棚に上げて考えてみたり、どうせホテルに帰ってもやることないしね、と自分を慰めてみたりと、それなりに楽しみました。まあもう二度とは並びませんが。
大陸のおそらく地方から来た若者が列の前の中年の台湾人男性に話しかけ、大声で無邪気に根掘り葉掘りいろんなことを聞いていました。台湾人は美人の恋人連れで、始めあまり会話に気乘りしない様子でぶっきらぼうでしたが、それでもぽつりぽつりと答えるし、そのうち次第に打ち解けていったりして、大陸の人のオープンな気質と、台湾人のちょっとすましたような感じと、それでもやっぱり同じ中華民族の気軽さなんだなと、勝手な考察をめぐらすのもおもしろかったのでした。