中国の1-5月の日本国債の買越額が1兆2700億円を超え、中国が日本最大の債権国となったことに対し、中国対外経済貿易大学の袁長軍教授は、「多元的な投資として重要な手段だが、リスクも存在する」と語った。中国経済時報が伝えた。
袁長軍教授は、これまで日本国債に投資する中国の投資家は多くなかったと語り、その理由として、米国債などに比べて収益率が低いこと、流通量が少ないことを挙げた。
さらに袁長軍教授は、中国が日本国債を買い増している理由について、「リスク分散」を挙げ、米ドル、ユーロ、円ともに為替レートの変動が大きいものの、短期的に見た場合、円はさらに上昇する可能性があると述べた。続けて袁長軍教授は、中国がこのほど購入した日本国債の多くは短期国債であると指摘し、「中国は日本経済を評価しているものの、長期的視点では慎重になっている」と主張した。
続けて、中国が日本国債を保有することにはリスクが存在すると主張し、国際的な格付機関が日本国債の格付けを引き下げれば、中国が保有する日本国債にも影響が出ると述べた。一方で、すでに大量の米国債を保有し、欧州経済危機によって影響を受けている中国が、投資を分散させることは当然の選択であり、長期的戦略の一部であると語った。
一方、日本国内から、中国が日本国債を保有することに対して危惧(きぐ)の声があがっていることについて言及し、「日本は世界最大の国債市場であるにもかかわらず、その国債の95.4%が国内で保有されていること」が原因であると分析。米国やドイツでは国債の50%以上が海外投資家によって保有されていると語った。(編集担当:畠山栄)