年収1000万円の貧乏人:
周りに流されて何も考えずに生活していると、いつまでたっても資産を増やすことはできません。しかし、お金持ちになることはそれほど難しいことではありません。今回は、お金持ちになるための2つの法則を紹介します。
●「稼いだお金はすべて自分のもの」は勘違い
現在の日本社会では、これまでどおり周りに流されて何も考えずに生活していると、いつまでたっても稼いだお金を自分のものとし、資産を増やしていくことができません。
しかし、このような社会であっても、お金持ちになることはそれほど難しくはありません。そう言うと、多くの人は怪訝(けげん)な顔をします。しかし、お金持ちになるための法則は実にシンプルです。次の2つを実行すればいいのです。
●お金持ちになる法則
?その1 自分のために働き、自分のお金をつくる
?その2 自分のお金を働かせて、お金を生ませる
たったこれだけです。
昔の私であれば、確かにふに落ちない顔をしたと思います。そんな簡単にお金持ちになれれば苦労しません。しかし、投資ビジネスに関わり、自分自身と多くの人の資産形成に携わってきた今なら、はっきりと言えます。
この2つの法則を徹底するだけでお金持ちになれます。こんなシンプルな方法でお金持ちになれるのなら、なぜ多くの人がそうなれないのか不思議ですよね。実は、これには理由があります。
法則その1は、実現するのはとても難しいです。言い換えると、できる人は簡単にできるのですが、できない人は習慣化しないとなかなか身につかないのです。年収300万円の人には身についていますが、前回紹介したような、年収1500万円の証券マンには身についていません。
ただ、そもそも「自分のために働き、自分のお金をつくる」というのは、働いて稼いでいる人にとっては「当たり前の話じゃないか」と思うかもしれません。しかし、当たり前ではないのです。
私の愛読書の1つに『バビロンの大富豪』(ジョージ?S?クレイソン著 キングベアー出版)という本があります。そのストーリーの中で、貧乏な主人公がお金持ちの賢者の元へ「お金持ちになるひけつ」を聞きに行くとお金持ちの賢者がアドバイスをするやりとりが出てきます。
「自分の稼いだ分の一部を自分のものとしなさい」
すると主人公が答えます。
「稼いだ分はすべて僕のものです」
すると賢者が言います。
「おまえは生活をしていくために、食べ物や服を買ったり散髪に行ったりしているだろう。食品会社や衣料品店、散髪屋のために働いているのだ。だから最初に、稼いだお金の1割を自分のためにとっておくのだ」
これは、核心をついたお金のアドバイスです。私はこの箇所を読んだとき、大きなショックを受けたのを覚えています。当時はまだ20代でしたが、証券会社で朝から晩まで働き、自分のためにお金を稼いでいる気持ちになっていました。しかし私は、自分の住んでいるマンションの大家さん、居酒屋やスーパー、衣料品店に自動車メーカー、電機メーカーなどのために一生懸命働いていたのです。
この本を読んでから、私は自分自身のために給料の一部をまず貯金するように習慣化しました。
●複数の収入源をもつことの大切さ
「新卒で入社した会社で一生懸命働いて、マイホームを買う。そして定年までその会社でサラリーマンとして頑張る」
耳にタコができるほど聞いていると思いますが、こうしたモデルはすでに崩壊しています。企業が成長を維持できなくなっている今、終身雇用、右肩上がりの昇給は当たり前ではなくなりました。だから、昔の人生設計を今の時代に当てはめようとすると、おかしなことになります。
会社は定年まで面倒を見てくれませんし、給料も右肩上がりが続くわけではありません。そんな中、長期のローンを組んでマイホームを買うのは危険な行為です。リストラされるリスクを考えれば、家賃の低いところに引っ越して生活の固定費を下げることができる賃貸生活のほうが合理的です。
いくらサラリーマンとして一生懸命働いても、生涯の雇用が保障されているわけではありません。そうした状況を理解していないと、会社にしがみつくことだけを考える、どうしようもない社員になってしまうのです。
現在の経済環境の中では、収入源を複数化することが大事になってきています。
株式の配当で毎年まとまった収入がある状況を目指すのもいいですし、私のように不動産で毎月安定した家賃収入が入ってくる状況をつくるのもいいでしょう。事業家としてビジネスの良し悪しを判断できるのであれば「事業や知り合いの会社に出資して配当を受け取る」というのもよい方法でしょう。
そのためには繰り返しになりますが、次の2つの法則を活用しなければいけません。
●お金持ちになる法則
?その1 自分のために働き、自分のお金をつくる
?その2 自分のお金を働かせて、お金を生ませる
今回は主に、法則その1を守るのがいかに難しい社会なのかを述べました。
ただ、これを守るのは、習慣化すればそれほど難しくありません。ひとまず、もらった給料の1?3割を貯金箱(貯蓄用の通帳)に入れてしまうのです。そして残ったお金でその月の生活費の予算分けをして、その予算内で生活する。ただそれだけです。
シンプルですが、とても重要な行動です。この習慣がない人は、いつまでたっても自分のお金を作れません。
次回は、労働者と資産家の「お金の流れ」について。
[伊藤邦生,Business Media 誠]