2005 (265)
2011 (1)
2012 (354)
2013 (600)
毎日新聞 11月14日(水)21時33分配信
大手銀行5グループの12年9月中間連結決算が14日、出そろい、合計の最終(当期)利益が前年同期比31.4%減の1兆422億円となった。各行が保有する電機など製造業の株式を中心に株価が下落し、計7110億円に上る減損処理が足を引っ張った。国債の売却益や海外の貸し出しは堅調だが、景気の先行きは不透明で、今後、不良債権処理の増加などで業績はさらに下振れする懸念もある。
「これだけの影響が出るのは、正直言って非常に忸怩(じくじ)たるものがある」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長は記者会見で株式の減損処理が2816億円に上ったことについて懸念を示し、持ち合い株式の売却を急ぐ考えを強調。「(取引先の株売却は)難しいからと言って置いておくわけにはいかない」と述べた。
9月末の日経平均株価は3月末比で約12%下落。テレビ事業などが不振の電機や鉄鋼、電力などで下落が目立った。減損処理は三菱UFJが2114億円、三井住友は1499億円に上り、3メガ合計で6000億円超。取引先の株式保有のリスクを裏付けた。
本業のもうけを示す業務純益は三井住友など3グループで減益だったが、5グループ合計は3.3%増の1兆7791億円。国内の資金需要の低迷で貸し出しによる資金利益が減少したが、値上がりした国債などの売却益や海外での貸し出し増などでカバーした格好になった。
下期に向けては、景気低迷の長期化に伴う企業業績悪化が懸念材料。パナソニックやホンダなどが中国経済の減速などで13年3月期の業績見通しを下方修正。「日系企業の一部で中国での販売面で影響が顕在化している」(三井住友FGの宮田孝一社長)こともあり、取引先の経営環境の不透明感は強まっている。
景気回復が遅れれば設備投資などの資金需要の低迷も続き、企業倒産が増えて不良債権の処理費用を積み増す事態も想定される。メリルリンチ日本証券の大槻奈那アナリストは「9月中間の不良債権処理は目立たなかったが、景気次第では新たな不良債権が生じて、銀行の業績の下振れ要因になる。これからが正念場だ」と注視している。【竹地広憲、葛西大博】