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チベット暴動から1か月、中国は愛国心核に「空前の団結」

(2008-04-14 22:56:19) 下一个
 【北京=杉山祐之】中国チベット自治区ラサでの大規模暴動から14日で1か月。暴動の連鎖による国際社会の批判拡大が、北京五輪聖火リレーの混乱に結び付く最悪のシナリオに直面した中国では今、ナショナリズムを核とした「空前の団結」(中国筋)が生まれ、胡錦濤政権はこれを背景に強硬姿勢を貫いている。

 中国は、妥協を排した独自路線を走り続ける構えだ。

 北京の国際関係専門家は14日、「逆風が中国人を団結させた」と語った。国内のネット、メディアでは、「愛国者」による欧米非難の論調が充満。パリで抗議者から聖火を守った車いすの女性ランナーは、中国の誇りの象徴に祭り上げられた。海外の聖火コースで、聖火防衛を叫び中国国旗を打ち振る華人らの姿も、こうした風潮に拍車をかけた。

 中国での関連報道の多くは、愛国心を揺さぶる単純な正邪の二元構造だ。多くの民衆は共産党のフィルターを意識せず、「罪のない人や聖火に対する襲撃」、「理不尽な中国攻撃」に憤る。国民がその感情を広く共有していることが、「団結」の意味だ。

 胡錦濤・国家主席は12日、ラッド豪首相との会談で、チベット暴動を巡る対中批判に関して「何が『平和的デモ』だ。暴力犯罪ではないか。中国政府と(チベット仏教最高指導者)ダライ・ラマとの対話の障害になっているのは、ダライ・ラマ側だ」と述べた。

 胡政権は、双方の対話を求める国際社会の期待には全く応じていない。共産党が真に恐れるのは、「国内の混乱」(党関係者)だ。暴動や反政府行動は力で鎮圧し、民衆の憤りを外部に向かわせれば、少なくとも、党の最重要課題である国内の安定は維持できる。ここで譲歩すれば、国内世論の矛先が党に向かう。外交筋も「中国政府が動ける余地は小さい」と語る。対外関係は「多少の摩擦は仕方ない」(同)と割り切れるというのだ。この面では、ブッシュ米大統領が五輪開会式出席の方針を変えず、日本が日中関係発展を重視していることが、中国の強い支えとなっている。

 しかし、チベット暴動は、中国政府の民族・宗教政策に対する抵抗でもあり、国際社会で今回、かつてないレベルで同情論が広がったことは否定できない事実。力と言論統制、一方的主張で守る「安定」は、チベット問題の根本的な解決にはつながらず、国際社会での幅広い賛同も得られない。中国がこの問題の解決に向けた対応を取らない限り、中国、そして北京五輪に対する支持は広がらない。

(2008年4月14日22時24分 読売新聞)
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