フォーブスから2011年の長者番付が発表された。日本からは26人がランクインし、1位には83億ドルで、ソフトバンク社長の孫正義氏が2007年以来の1位に返り咲いた。世界で見れば113位だが、長年のビジネスパートナーで友人のアップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏(110位)に追い付いた。それとは別に日本の大富豪の常連、サントリー佐治信忠氏が姿を消す、という謎が起きている。
フォーブスランキング(氏名、年齢、肩書、資産額、世界順位)
孫氏がジョブズ氏に追い付く
昨年4位から1位に返り咲いた、ソフトバンク社長の孫正義氏。スマートフォンの「iPhone4」や、タブレット端末「iPad」の売れ行きも良く、業績は好調で株価は昨年度末からは、3割以上上昇。資産は昨年の5300億円から、1000億円以上増えて6700億円となっている。
2位には、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正氏だった。こちらは、仮に昨年と同じ資産額6800億円であれば、1位を守ることができたが、一時の快進撃が止まったこともあり、6300億円にダウンし2位にとどまった。
トップ10はほぼ顔ぶれが変わらないものの、日本のビリオネア26人の中に、今年は初めて、ZOZOTOWNを展開するスタートトゥデイ創業者の前澤友作氏が登場した。資産は10億ドル(約830億円)とギリギリながら、35歳でビリオネアに到達したのは立派。昨年初登場となった最年少34歳のグリー創業者、田中良和氏は今年も1800億円でランクインしている。
世界と比較すれば、スケールが一ケタ違うものの、1位の孫正義氏が、アップルのスティーブ・ジョブズ氏に肉薄したことは、一つの希望になるかもしれない。
フォーブスの長者番付で、日本では、サントリーの佐治信忠氏は常連だった。昨年も6700億円で2位につけていたのだが、今年はランキングから消えているのだ。にわかに信じがたい話ではあるが…。
考えられる可能性は次のようなところだろう。
【1】全資産を他人の名義に変更した
【2】載せ忘れ
【3】資産が10億ドル未満になっていた
最も可能性が高いのは【2】ではないかと考え、まずは集計元のフォーブスに連絡を入れたが現時点で回答は得られていない。だが、「落選リスト」なるものに「Nobutada Saji」の名前があった。【3】の可能性だが、会社の業績自体は好調で2010年12期の売上も前期比10%以上増の約1兆7000億円となっている。たった1年で、6000億円を使い切ることは考えにくい。
それならば、やはり【1】。考えられるのがキリンとの経営統合を協議している際に、株式の名義を変更した可能性だ。佐治氏は、サントリーの親会社「寿不動産」の株式を約5%保有。鳥居、佐治の両家で分け合う形で保有しているが、経営統合の手続きで、何らかの動きがあったのではないか、と推測される。
ただ、周辺をあたったが、現時点では、それらしき形跡は確認できなかった。また、サントリー広報部にも問い合わせたが、情報は入っていなかった。
消えた6700億円。今年のフォーブス長者番付最大の謎だ。