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二つの夢

(2007-07-10 02:19:54) 下一个

   二晩続けて夢を見た。
  
一晩目は怖い夢。会社の同僚たちとビアホールのような所で飲んでいる。他の客の姿はなく、白い壁白い床、丸いテーブルとシンプルな椅子。全部で5人、私以外は男性で、私は4杯目のチューハイを飲んでいる。かなり飲んでいるのに全然酔っていない。いくら飲んでも酔いそうにない。一人が仕事上のことで、他の皆に向かって何か滔滔と偉そうにしゃべっている。私は心の中で、年数だけ先輩でも能力が伴わなければ何の意味もないのに、と思う。悦に入って語るその先輩と私との間にはまるで透明なガラスの壁があるかのようで、声は聞こえているのに、私まで届かない。他の一人の同僚とふと目が会う。ああ、彼も私と同じように感じているのだと、なんとなくわかって親しみを感じた。
   
夜中の1時を回り、私は終電を気にして一人先に帰る。ホールの外で同僚に飲み代を渡すと財布の中は2千円札1枚だけが残った。財布を覗き見た同僚が気の毒がっている様子を背中に感じつつ、私は駅に向かってさっさと歩き始める。
  
夜遅いのに駅は大勢の人でにぎわっている。道路から改札口へと上がる階段を見上げると、階段の真ん中あたりまで人が溢れている。その時突然、左手の道路のほうから、

「テロだ!」

という声が上がった。私はすばやく駅とは反対方向に走り始めた。外にいたほうがいいのか、どこか建物の中に避難すべきなのか、頭の中でぐるぐる考えながら走った。パチンコ屋の傍で一瞬入ろうかどうしようか迷うが、人の大勢居るところはだめだと思い、通り過ぎた。とにかく群集から離れたほうがいいと、路地をひたすら走る。
  
ところがその時、正面から数人の若者がこちらに向かって勢いよく走ってくるのに気付いた。10代から20代のだぶだぶの服を着た若者たちで、私は彼らこそ、この騒ぎを起こしている暴徒の一員だと気付く。あわてて踵を返し、彼らから逃れようと更に全速力で走る。もと来た道は既に逃げ惑う人々で大混乱に陥っていた。暴徒は四方から集まり市民を襲っている。襲う者と襲われる者とが入り乱れる路上を、私はラグビーのタックルを避けるようにして走り抜けていく。混乱のただなかで、すでに逃げ場がないことは目に見えていた。私にできることはただその場その場で右へ左へと避けることだけだった。緊張の極致に達したとき、ようやく目が覚めた。起きてからも息切れが治まらないような気がした。

 
   
二晩目の夢は長い夢だったのに、一シーンしか覚えていない。
  
私は大きな客船に乘って、一日だけの船旅を楽しんでいる。最後に船が小島の裏にぐるりと回りこむと、突然目の前の海上に一面の菜の花畑が現れた。真っ青な空の下、鮮やかな黄色が一面に広がっている。そしてその次の瞬間、菜の花畑は黄金色に輝く稲穂に変わった。しばらくその光景に見とれるが、船が近づくにつれて、稲穂の黄金色は徐々に色褪せていった。手が触れるくらいに近づいたとき、稲穂はとうとうその輝きをすっかり失い、よく見ると一本一本の穂は実がほとんど入っていないかのように軽く、かさかさしていた。私は、美しい光景への感嘆とともに、

「季節はずれなのだから仕方がない。」

という諦めを抱いて港に戻った。

  こう書いてみると、他人はあまりいい夢でないように思うかもしれないが、私にとって海が出てくる夢はたいていいい夢である。海が出てくる夢から目覚めた後は、安心感や開放感、それからみずみずしさや清清しさなどを感じる。
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