川辺で
文章来源: 小春日和2008-07-17 21:11:08
  
 今日は川の水が青かった。夕刻になってようやく熱気がおさまり、水の上を渡る風がひんやりと肌に心地よい。河原を歩いていたら、浅瀬にぴちぴちと跳ねるものがあった。かがみこんで両手で捕まえてみると、体長10cmほどの鮎だった。水の外では苦しかろうと、鮎を包んだ両手ごと水の中につけて、しばらくぬるぬるとした生き物の感触を楽しみながら、持って帰れるだろうか、けれど持って帰ったとして何になるだろう、などと考えていたら、鮎はするっと手の中を抜け、あっという間に姿が見えなくなった。おそらく最終的には放しただろうが、考えた末に、さあ、放してあげるよ、と仏教で言う“放生”の気分でも味わおうかという思惑がはずれ、少し残念に思った。

 腰を上げると、遠くの方で、大きな白い鷺が細長い足を交互にゆっくりと上げ下げしながら、そ知らぬ顔で歩いていた。